露木幸彦の新刊「婚活貧乏」
(中央公論ラクレ新書・6月10日発売)


正直に言います。


私はこの本を死ぬ気で執筆し、そして死ぬほどの覚悟で出版しました。
こんなことを言うと、少し大袈裟だと思われるかもしれません。



ただ、この本のせいで本業に悪影響が出て、最悪の場合、今まで築いたものを、すべて失ってしまう。
そんな恐怖と隣り合わせでした。
「言いたいことを言う」それがこんなにも大変だとは・・・全く予想外でした。



【 突然、届いた2通の果たし状 】


きっかけは2通の手紙でした。
1通は今年3月末、1通は4月初めに届いたのですが
差出人は「とある業界団体」



あまりにも大きな利権、そして100年以上の長い間、既得権益を握ってきた業界・・・
その手紙は脅迫めいたものであり、私に対して「これでもか」というくらい
無言の圧力をかけてきました。



私はこう見えても小心者ですし、どこにでもいる「一般ピープル」です。
そんな手紙を見せられて内心、穏やかではなく、小便をちびるような思いでした。


どういうことでしょうか?



【 放置プレイは、もう許されない 】


この本は今まで日本が行ってきた政治や政策を批判する内容が含まれています。
ここ10年で、確かに法律や制度は大きく変わりました。
そのおかげで、多くの人がより良い方向に進んでいけるのなら、私は何も言いません。



しかし、そのせいで離婚件数は増え、貧富の差は拡大し、ひどい格差社会が生まれました。
夫婦間、親子間、家族間の人間関係はギスギスし、毎日のようにストレスを浴び続ける日々・・・
そんな状態を「放置プレイ」しておくわけにはいきません。




だから、お偉いさんにとって、この本は「危険分子」であり、私は都合の悪い存在なのです。
「出る杭は打たれる」とは、まさにこのことです。



「この本を出したら、私はどうなってしまうのか?」
それからと言うもの、私は不安で不安で、仕方がありませんでした。
顔からは気持ちの悪い汗がダラダラと出て、胃腸がギシギシと痛む日々・・・



【 まるで1人龍馬伝状態 】


その心境を例えるなら「リアル龍馬伝」



政府への批判、口出し、いちゃもんは、世が世なら「命がけ」です。
今の元号は「平成」ですが、これが幕末なら、大変なことです。
お上に立てつこうものなら、その顛末は「打ち首」「切腹」です。




平成の世では、命の危険はありませんが、それでも、えげつない圧力、嫌がらせ、横やりは存在します。
ここは現実なのか、ドラマの世界なのか。
自分だけが、江戸時代にタイムスリップしてしまったのか。そんな錯覚を覚えたのです。




そんなギリギリの極限状態が、実に3ヶ月間も続きました。
何回かは忘れましたが、私はその間、何度も何度も自問自答を繰り返しました。




「やる」「やらない」「やる」「やらない」・・・
四葉のクローバーの葉を何度もちぎるように。
自分の胸にぎゅっと両手を当てて、このことだけを全身全霊、集中して考えたのです。




「本当は誰を守りたいのか」
「自分は誰の味方なのか」
「誰のために頑張るのか」



『誰』の部分は一体、何?



そこで私の脳裏に、真っ先に浮かんだのは・・・
1.自分のお客さん、相談者、依頼人
2.何の罪もないのに、家族のトラブルで笑顔を失った子供たち




だから、私は覚悟を決めました。
大事な人を守るために、何らためらうことなく、堂々と正論を言おう、
そして勇気をもってこの本を出そうと。
すべてのリスクを承知の上で、あえて「やる」ということです。



【 長いものに巻かれない生き方とは? 】


そして、とうとう今日「その日」をむかえました。
この本が全国各地の書店に並ぶこと、そのエックスデーが。



この本を書いた張本人が、こんなことを言うのはおかしいかもしれませんね。
正直なところ、この本がバンバン売れて欲しい気持ち、あまり売れて欲しくない気持ち
自分のなかでは、ちょうど半々です。



なぜなら、この本が世の中に行き渡ること、そしてたくさんの人の目に触れることは
イコール、私がお偉いさんから睨まれ、立場を悪くすることを意味するからです。




しかし、そんなことは抜きにして、やはり「言うべきこと」は言わなければなりません。
「長いものに巻かれて」だんご虫のようにちじこまる。それは自分への裏切りです
だって「誰の代弁をするのか」それはもう、心に決めたのだから。


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